[コラム]それは「年のせい」だけではない?~ヒアリングフレイルのサインとセルフチェック~
目次
【連載】聞こえの衰え、見過ごしていませんか?~ヒアリングフレイルを正しく知り、豊かな人生を~
第2回:それは「年のせい」だけではない?~ヒアリングフレイルのサインとセルフチェック~
夏の厳しい暑さが続くと、多くの人が体力の低下を実感し、休息や栄養補給を心がけます。しかし、私たちは「聞こえの体力」とも言うべき聴覚機能の低下には、驚くほど無頓着なことがあります。その衰えは、静かに、そしてしばしば本人も気づかないうちに行動の変化として現れます。それは、ご自身や大切なご家族に起きている、見逃してはならない重要なSOSサインかもしれません。
見過ごされがちな行動の変化
ヒアリングフレイルの初期の兆候は、「耳が聞こえない」という直接的な訴えよりも、むしろ日常生活における些細な行動の変化として現れることが少なくありません。例えば、以下のような変化に心当たりはないでしょうか。
- 話しかけても以前より反応が鈍くなった
- 外出することが億劫になった
- 以前よりも怒りっぽくなったように感じる
- 大好きだったテレビを急に見なくなった、あるいは音量が極端に大きい
- 以前に比べて会話が弾まなくなった
これらのサインは、一見すると老年期のうつ病や認知症の初期症状とも似ているため、誤解されがちです 2。しかし、その根本的な原因が「聞こえにくさ」からくるコミュニケーションのストレスにある可能性を、本人も周囲も考える必要があります。会話が聞き取れない状況は、精神的な疲労を蓄積させ、社会的な活動から遠ざかるきっかけとなり、結果として上記のような行動変容を引き起こすのです。
【実践】ヒアリングフレイル・セルフチェックリスト
ご自身やご家族の状態を客観的に把握するために、多くの自治体や専門機関で活用されているチェックリストをご紹介します。これらの項目は、聞こえの問題がコミュニケーションの質や生活意欲にどのように影響しているかを具体的に示しています。
ご本人向けチェックリスト | ご家族・周囲の方向けチェックリスト |
☐ 家族にテレビやラジオの音量が大きいと言われる | ☐ 話しかけても以前より反応が鈍くなった |
☐ 会話をしている時に聞き返すことが増えた | ☐ 大好きだったテレビを急に見なくなった |
☐ 会議や会食など、複数人での会話がうまく聞き取れない | ☐ 以前に比べ会話が難しくなった |
☐ 相手の言ったことを推測で判断することがある | ☐ 何度も同じことを話す必要があり疲れる時がある |
☐ 外出することが億劫になった | ☐ 聞こえにくい方と話すことが億劫に感じることがある |
☐ 大きな声で話しかけられても、うまく聞き取れず聞こえたふりをしてしまう | ☐ 聞こえが悪いことをきっかけに、ご両親との会話が減ったと感じる |
出典: 豊島区、入間市、ヒアリングフレイル予防推進協会などの資料を基に作成
専門サイトによれば、ご本人向けリストで4つ以上、ご家族向けリストで3つ以上当てはまる場合、聴力低下によるフレイルのリスクが高まっていると考えられます 。このチェックリストは、単なる診断ツールではありません。むしろ、家族間で「最近、こんなことない?」と話し合うための、コミュニケーションのきっかけとして活用していただきたいのです。問題の兆候は、聴覚そのものではなく、「コミュニケーションのストレス」が引き起こす行動の変化として現れます。この視点を持つことで、家族は本人の変化を「頑固になった」「性格が変わった」と誤解するのではなく、「聞こえの困難さからくるSOSサイン」として共感的に受け止め、適切なサポートへと繋げる第一歩を踏み出すことができるのです。
※本コラムは、Googleの生成AI「Gemini」の支援を受けて作成され、ユニバーサルサウンドデザイン株式会社・聴脳科学総合研究所が監修しました。